マトリョミン♪

世界最古の電子楽器とも言われる「テルミン」というロシアの不思議な楽器。

その音色ということでぼくが真っ先に思い浮かべてしまうのは、なんと言ってもビーチ・ボーイズの「グッド・バイブレーション」です。

Good Vibrations: 40th Anniversary Edition

この曲は、1966年全米No.1ヒット曲となったシングル盤であると同時に、当時ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」と対峙するはずだった神に捧げるティーンエイジ・シンフォニーとして企画・制作されながら、きちがいじみたセッションの果てにブライアン・ウィルソンみずから音源をスクラップにして葬り去ってしまい、断片を収録したアルバムやブートレグでその片鱗をかいま見ることだけができた37年の時を越えて、2004年奇跡的に再現されるに至った幻のアルバム「スマイル」の最後の曲でもあり、3つのスタジオと90時間の録音時間、5万ドルの制作費を注ぎ込んで作られた3分間のポケット・シンフォニーという、ポップ・ミュージック史上空前絶後の作品でした。

スマイル

リズミカルで歯切れのいい軽快なポップ・チューンのようでいて、たまらない哀愁と切なさに満ちあふれた旋律。さわやかなハーモニーと、どこかくぐもったような律動。聴いているうちに、なんだかほんとうに気が狂ってしまいそうな不安におそわれてしまう、恐るべきポップス。

そのサウンドの中で、ひときわ効果的に使われているのが「テルミン」の音色だったのです。

2007年、学研の「大人の科学」がテルミンminiを付録につけて、驚きのお買い得価格で発売になったとき、あの音色がわが家で再現できたら楽しいね、ということで購入を検討したことがありました。

ただ、試聴してみた限りでは思っていた音とちょっとイメージが違うかも。そう思ってまだ手に入れてはいないのですが、やっぱりお値段がすごく魅力です。これは手に入るうちに買っておいた方がいいのかもしれません。

大人の科学マガジン Vol.17 ( テルミン ) (Gakken Mook)

さて、本題の「マトリョミン」。

マトリョーシカと、テルミンが合体して「マトリョミン」、というわけですが、これが安易なオモチャ仕様ではなく、オーソドックスな表情とでクラシカルな装いで、本格的にかわいいところがすっかり気に入ってしまいました。

you tubeで演奏しているところを観てみたら、肝心の音もかなりステキなのです。4オクターブは楽に出せるとのこと。

竹内正実さんという方が1999年に作った、ということですが、その紹介記事でも、こんなふうに書かれているのを見つけました。

「ところで、もともとマトリョーシカというのは、日本のこけし入れ子細工がルーツになってるんですって。日本産のこけしがロシアに渡ってマトリョーシカになり、それがさらに日本でマトリョミンになった……という変遷を考えるとおもしろいですね〜。」
(マトリョーシカがテルミンになっちゃった!?)

まさに、「マトリョーシカと姫だるま」をめぐる不思議な縁を思わずにはいられないおはなしです。

雑誌の付録にくらべればさすがに値のはるお買い物にはなりますが、楽器としては決して高くはありません。それになんといっても、マトリョーシカ人形としての価値もあるのですから。

マトリョミン QT+教則DVDセット
マトリョミン QT+教則DVDセット

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こちらもぜひ、入手困難になってしまう前に、わが家にもお迎えできたらいいな、と思っているところです。



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マトリョーシカと姫だるま ● goods



"マトリョーシカと姫だるま"
posted by 稲村光男抒情画工房